■ 女子美術大学大学院「インタラクティブ空間演習」
講読のための用語集、他 glossary
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(「 ※ 」部分は石井による記述を示す)
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「記号」と「記号現象」について
「人間は、すでに慣習的に定められた『記号』をあやつるばかりでなく、新しい『記号』をせっせと創り出している」(池上『記号論への招待』5 )
「〔※人間が記号を創り出す営みにおいて〕いちばん基本になることは人間の『意味づけ』とでもいった行為 ――― つまり、あるものにある意味を付したり、あるものからある意味を読みとったりする行為 ――― である」(池上『記号論への招待』5 )
「人間が『意味あり』と認めるもの、それはすべて『記号』になるわけであり、そこには『記号現象』が生じている」 (池上『記号論への招待』5 )。
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「記号論の関心」とは?
「『言語創造』にも似た行為を、人間は絶えず、しかもその文化のあらゆる面で行なっている。その原型と本質を探ってみること ――― そこに現代の記号論は関心を向けるのである」(池上『記号論への招待』5 )
「人間の『意味づけ』する営みの仕組みと意義 ――― その営みが人間の文化をいかに生み出し、維持し、そして組み変えていくか ――― 現代の記号論はこういうことに関心を持っていると言いかえてもよいであろう」(池上『記号論への招待』5 )
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コード 【code】
「発信者と受信者の共通の理解に基づいた決まり」(『記号論への招待』47 )。
「伝達で用いられる記号の指定、とその記号の意味」(同前)。
「記号の結合の仕方の決まり」(同前)。
「『コード』には、記号とその意味、および記号の結合の仕方についての規定、、、が含まれる」【重要】(池上『記号論への招待』39 )。
※ 「コード」 = 文化的慣習。 イデオロギー ( = 思想風潮、いわゆる「空気」であり、そこにはしばしば政治性が含まれる )
〔「コード」の概念は、〕初めは工学の一分野としての情報理論の基礎概念として構想された。後に言語的コミュニケーションの解明のための
モデルとして言語学に取り入れられ、ひいては広く人間の言語的・非言語的記号行動の解明のために、記号論もしくは記号学
の領域における基礎概念の一つと見なされるにいたった (「コード / メッセージ 」『岩波哲学・思想事典』)。
【シャノンの工学モデル】
電話通信をモデルにシャノンはコミュニケーション・モデルを構想した。(略)。
伝達しようとする情報を発信地でチャンネルに乗りうる信号に変換する操作を「コード化」(coding) という。
目的地に届いた信号を理解しうる情報に変換する操作を「コード解読」(decoding ) という。このようにして取り出された
情報を「メッセージ」といい、これが伝達を意図された情報とひとしいなら、コミュニケーションが成功したと見なされる(同前)。
【記号論への適用】
この工学モデルを言語学者は人間言語のモデルとして採用した。ヤコブソンによれば、言語的コミュニケーションとは、
送り手が思想をメッセージに変換して受け手の側に伝達し、受け手がこのメッセージから送り手の思想を両者が共有する
コードによって復元する過程である(同前)。
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テクスト 【 text 】
「なん人かによって〔※誰かによって〕そこから意味が読みとられることによって、一個の『表現体』―――『テクスト』になる」 (池上『記号論への招待』29 )。
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メッセージ 【 message 】
「伝達を行いたいという人は、伝達内容を、、、何らかの方法でその存在を知覚できるようなものに直さなくてはならない。つまり、伝達するためには、思ったり感じたりしている事柄を表現する ( 文字通り、『表に現わす』) ということが必要である。そのようにして表現されたもの」 (池上『記号論への招待』38 )。
「『メッセージ』は、、、何かを意味するもの、すなわち『記号』により構成されていなくてはなら」ない ( 池上『記号論への招待』39 )。
「『メッセージ』を構成する記号とその意味は、、、受信者との共通の了解に基づいた決まりに従っていなくてはならない。そのような決まりが『コード』とよばれる」(池上『記号論への招待』39 )。
メッセージには、「『意味作用』が存在しているはず」 (池上『記号論への招待』39 )。
※ 池上は、「メッセージ」を、複数の「記号」(意味を持つ語、単語など) が、並べられることで構成されたものを指しているようだ。文 (節) のようなものか。 例:「メッセージを構成するのに用いられる『記号』」(池上『記号論への招待』67 )。
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コンテクスト 【 context 】
文章の前後の脈略。文脈。コンテキスト (「コンテクスト」『広辞苑』)。
あるテクストを解釈するために不可欠なさまざまなテクストの総体。〈文脈〉〈脈略〉〈状況〉などと訳される。言語理論、
文学理論、解釈学などの領域におけるキー・コンセプトの一つ (「コンテクスト」『岩波哲学・思想事典』)。
「『コード』を超えようとする『使用者』と、『使用者』を拘束しようとする『コード』― このたがいに対立する両者の
間の緊張した関係が破綻に至らぬようとりもっているのが『コンテクスト』である」 (池上『記号論への招待』47 )。
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コミュニケーション 【communication】
「コミュニケーションとは、言うならば、自分が頭の中に抱いている〈抽象的〉な広義の思考内容のコピーを
相手の頭の中にも創り出す行為であると言える」 (池上『記号論への招待』37 )。
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しゅたい 【主体】subject
主観と同意味で、認識し、行為し、評価する我を指すが、主観を主として認識主観の意味に用いる傾向があるので、
個体性・実践性・身体性を強調するために、この訳語を用いるに至った ⇔ 客体 (「主体」『広辞苑』)。
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しゅたいせい 【主体性】subjectivity
主体的であること。また、そういう態度や性格であること (「主体」『広辞苑』)。
人間が主体性を確立する背景には、デカルトのように何ものにも依存しない独立的存在であろうとする批判的精神があった。
それは近代ヒューマニズムを育み、思想的文化的、社会的政治的変革の原点となったが、精神と物体、心と身体を対立させる
二元論を生み、物のみならず心の実体性をも否定するイギリス経験論に先鋭化する (「主体性」『岩波哲学・思想事典』)。
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すいろん 【推論】 inference
推理・推察によって論を押し進めること。また、単に推理 (「すいろん」『広辞苑』より)。
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ひゆ 【比喩】imagery
物事の説明に、これと類似したものを借りて表現すること。(「比喩」『広辞苑』より)。
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きけつ 【帰結】consequence
2.〔哲〕(consequence ) 何らかの事態を原因として、それから結果として生ずる状態。
または一定の論理的前提から導き出される結論。⇔ 理由 (「帰結」『広辞苑』より)。
※ 「帰結」=「結果」。したがって「事例 (=理由) 」→ 「帰結 (=結果)」の図式となる。
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じれい 【事例】case
2.個々の場合における、それぞれの事実 (「事例」『広辞苑』より)。
※「事例」=「理由」。 したがって「事例 (=理由) 」→ 「帰結 (=結果) 」の図式となる。
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担当:石井拓洋 ishii05042(a)venus.joshibi.jp
(2016-6-22)